KEY TAKEAWAY
この記事の要点
使われていないSaaSライセンスは、契約・席数・費用・更新月を部門契約や個人経費まで棚卸しし、利用状況を実測して見つけます。各ツールを継続・縮小・統合・解約・内製代替の5択で判定し、貢献する数字を答えられない契約が見直しの第一候補です。四半期ごとの定点観測にすれば「気づいたら自動更新」を仕組みで防げます。
「全社でいま、何のツールを、何席、いくらで契約していますか」。この問いに即答できる企業は多くありません。答えられないということは、使われていないライセンス、つまり毎月自動で引き落とされ続ける固定費が、把握されないまま存在している可能性が高いということです。SaaSの利用料は1つひとつが小さくても、全社・年間では利益を静かに削ります。本稿では、その無駄を数字で見つける「活用度診断」の進め方を、実務の手順に沿って解説します。
使われないライセンスが生まれる仕組み
まず、なぜ無駄が生まれるのかを押さえます。どれも悪意や怠慢ではなく、契約が分散し、利用状況を横断的に見る役割が社内に存在しないことから構造的に起きます。
- 退職・異動の後も、アカウントと席の契約が残り続ける
- 導入時に「余裕を持って」多めに確保した席が、使われないまま自動更新される
- 部門ごとに別々に契約し、同じ用途のツールが全社で重複している
- 上位プランで契約したが、実際に使っているのは基本機能だけ
- 無料トライアルから有料に切り替わったことに、誰も気づいていない
共通するのは「契約した人」と「使う人」と「払い続けているかを見る人」が分かれていることです。この分断がある限り、無駄は自然に積み上がります。
ステップ1:棚卸しで全体像を出す
診断は、契約の全体像を1枚に並べるところから始まります。情シスの管理台帳だけを見ても、実態の半分しか見えません。抜けやすいのは次の経路です。
- 部門が独自に契約したツール(情シスを通していない)
- 個人がクレジットカードや経費精算で払っているサブスク
- 事業部単位の年間契約や、代理店経由の契約
各ツールについて、ツール名・契約席数・プラン・年間費用・更新月・契約者を記録します。特に「更新月」は後の判断で効いてきます。ここまでで、たいていは「そんな契約があったのか」というものが1つ2つ見つかります。
ステップ2:使われているかを実測する
次に、棚卸しした各ツールが実際に使われているかを、感覚ではなくログのデータで確認します。見るのは、ログイン率(発行した席のうち直近30日でログインした割合)、アクティブ率(主要機能を実際に使った割合)、そして「どの機能まで使っているか」です。
ここで注意が要ります。利用率が低い=即解約、ではありません。月次決算だけに使う会計連携ツールのように、頻度は低くても業務に不可欠なものがあります。数字は判断の材料であって、結論そのものではない。低利用のツールは「なぜ低いのか」を業務側に一度確認するのが安全です。
ステップ3:5択で処遇を決める
実測できたら、ツールごとに処遇を決めます。「継続・縮小・統合・解約・内製代替」の5択で捉えると、判断がぶれません。
- 継続:業務に貢献しており、席数も妥当。そのまま維持する
- 縮小:使われていない席を減らす。発行席と実利用の差が、そのまま削減額になる
- 統合:同じ用途の重複ツールを1つにまとめる。移行の手間と、浮く費用を比べて判断する
- 解約:どの業務のどの数字にも貢献を説明できない契約。第一の見直し候補
- 内製代替:機能の一部しか使っていないのに高額なツールは、内製での置き換えを試算する
判断の物差しはシンプルです。そのツールは、どの業務の、どの数字に貢献しているのか。これに答えられない契約から手をつけます。内製への置き換えを検討するなら、汎用SaaSの固定費を見直す、内製化の判断軸や内製とSaaSの判断フレームもあわせて見てください。
解約・縮小でつまずかないために
処遇を決めても、実行でつまずくことがあります。次の点を先に確認しておきます。
- 更新月と解約予告期限:多くの年間契約は、更新の1〜2か月前までに通知しないと自動更新される。棚卸しで記録した更新月が、ここで効く
- データの持ち出し:解約前に、必要なデータのエクスポートや移行を済ませる
- 現場の合意:使っている人がいるツールは、代替手段を示してから止める。コスト削減が業務の停滞を生んでは本末転倒
診断を一度きりで終わらせない
活用度診断は、一度やって終わりでは数年で元に戻ります。契約は増え続けるからです。四半期ごとの定点観測とし、各ツールの更新月の前に判定を挟む運用にすることで、「気づいたら自動更新されていた」を仕組みで防げます。棚卸しの一覧を最新に保つ担当を1人決めておくだけでも、実態はかなり変わります。
まとめ
活用度診断の価値は、削減額そのものにとどまりません。浮いた固定費は、効果が実証された領域への再投資の原資になります。コスト削減と成長投資をつなぐ起点として、まず現状を数字にすることからはじめてください。自社のどこに無駄が眠っているかを一緒に洗い出したい方は、無料相談からどうぞ。
よくある質問
使われていないSaaSライセンスはどう見つけますか?
契約中のツール・席数・費用・更新月を部門契約や個人経費まで含めて棚卸しし、ログイン率やアクティブ率を実測し、ツールごとに「継続・縮小・統合・解約・内製代替」の5択で処遇を決めます。貢献する数字を答えられない契約が見直しの第一候補です。
活用度診断は何から始めればよいですか?
まず全社で契約中のツール・席数・年間費用・更新月を一覧化するところからです。情シスの管理台帳だけでなく、部門ごとの契約や個人の経費精算まで拾うことが、隠れた固定費を見つける鍵になります。
活用度診断は一度やれば十分ですか?
いいえ、一度きりでは数年で元に戻ります。四半期ごとの定点観測とし、各ツールの更新月の前に判定を挟む運用にすることで、「気づいたら自動更新されていた」を仕組みで防げます。

